ちょっと不思議な世界を楽しんでみませんか?
時々読んでいるマンガのアプリにこの本があって、懐かしくて読んでいたら止まらなくなりました。
マンガって途中でやめられないですよね。
「天才柳沢教授の生活」山下 和美 著
褒め言葉になっていないかもなのですが、山下さんの描く線の硬さが好きです。
あまりネタバレにならない程度に、ご紹介していきます。
【ポイントその1】昭和の時代が鮮やかに描かれている
山下教授の生きている時代は、昭和の中でもバブルの頃。
六本木のディスコでボディコンのお姉さまたちが踊り、高度成長をみんなが楽しんでいたころです。
マンガなので、ファッションとか、家の様子とかがリアルに描き出されていて、昭和を知らない世代の方でも、昭和の雰囲気が楽しめるのではないかなと思います。
また、取り上げられる題材も、昭和の社会ならではのテーマもあります。
昭和の時代の一側面として、長寿社会になったことでお年寄りに関する問題が増えました。
まだ認知症というよりも「ボケ老人」「徘徊老人」という言葉が使われていた頃です。
今でこそホームとかショートステイとかが充実してきましたが、昭和のころはまだまだ家で介護するのが主流。
このマンガの中でも、昔の若かりし頃にトリップしてしまう老女の話がありました。
【ポイントその2】時間がズレていく感覚が面白い
主人公の柳沢教授は、一言でいうと「杓子定規」な感じのひと。
頭の中は思索をめぐらすことでいっぱいで、現実の生活のことは気にかけていない感じです。
そんな教授ですが、何かの拍子で子ども時代や夢の中へ簡単に意識が飛んでいってしまいます。
たとえば昔の知り合いに合ったときとか。
その時、教授はあわてることもなく、ただズレていることを知りながら、その世界にいて楽しんでいます。
その「ズレているのに楽しむ」感じが、夢を見ているときのような、不思議で、でもちょっとノスタルジーというか懐かしい感じがします。
いつもは意識していないけど、こういう過去の積み重ねの中に自分がいるのかな、とふと思いました。
【ポイントその3】とにかく柳沢教授のたたずまいが素敵
幼少の頃からおぼっちゃまだった柳沢教授。
青年時代は戦中で、海軍に従軍していたことも。
今では娘が4人いて、孫娘の相手に手を焼いていたりします。
時には彼を恨む幽霊がついていることも。
でも日常のささいなことも、彼なりの思索でそれなりに解決していきます。
彼の一番の武器は、観察眼とそこからの論理を組み立てる力、なのですが、ところどころ勘違いやトラブルが起こるので、すべてはうまくいきません。
それも含めて、納得して生きている感じがとても魅力的です。
今日の引用ひとこと
「何故 みんな時間があるのに そんなに走るのか」
始まりの1文です。
当たり前のことは、実は当たり前じゃないと柳沢教授は教えてくれます。
毎日が忙しくて慌ただしい時に、ちょっと柳沢教授の毎日をのぞいてみてはいかがでしょうか。
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