「絵本を読むように色のことを学べる」1冊をご紹介します!
こんにちは。
今回、「配色」について素敵な本が出版されたので、ご紹介したく記事を書きました。
私のように「色」が好きな方や配色のことを学びたい方はもちろん、「なんか見ているだけでほっこりするような本ないかな〜」と思っている方にもおすすめの1冊です。
絵本やイラスト集を見るのが好きな方にもおすすめです。
「配色アイデア手帖 色とイラスト かわいい世界観を作るヒントが詰まった本」サタケシュンスケ・桜井輝子 著
こちらは、桜井輝子さんの「配色アイデア手帖」の4作目です。
今回は、桜井さんの解説に加えて、イラストレーターのサタケシュンスケさんによるイラストが100点以上掲載されており、とても豪華な1冊となっています。
それでは早速、こちらの本のおすすめポイントをご紹介。
【おすすめポイントその1】キーワードから簡単に配色が選べる
この本は、キーワードから配色を選ぶことができます。
キーワードは大きく、次の5つに分類されています。
・物語
・感情
・時間
・季節
それだけならば、他の配色に関する本とあまり変わりがないのですが、「配色アイデア手帖」は他の本とはちょっと違うなと思うことがひとつあります。
それは、「キーワードを見ているだけでワクワクしてくる」ということ。
この本に収録されているキーワードをいくつか挙げてみると、
・日曜日のゆったり朝ごはん
・風を切ってドライブ
・家々のあかり
などなど。
配色例を見る前から、キーワードの持つ景色や雰囲気にワクワクした気持ちになりませんか?
明るい感情だけではなく、
・恋の終わりと始まり
・悲しみを、心にそっとしまって
など、悲しみや寂しさなどの感情のキーワードも。
「喜び」「悲しみ」などといったキーワードよりも、この本で使われているような具体的なキーワードのほうが、雰囲気がイメージしやすく、また配色のイメージも理解しやすいと思います。
また、自分のこれまでの体験や思い出などとも結びつけて、配色のイメージを楽しむことができるのではないでしょうか。
【おすすめポイントその2】サタケさんのイラスト集としても楽しめる
おすすめポイントの2つ目は、「サタケシュンスケのイラスト集として楽しめる」ということです。
ただパラパラとめくってサタケさんの可愛らしいイラストを見ているだけでも、とても和やかな気持ちになります。
私はイラストを描かないのですが、もしイラストを描かれている方は、それぞれの配色ページにある「画風」の例も参考になるかもしれません。
それぞれ、
・かすれ
・水彩風
・油彩風
のパターンがあり、同じ配色でも画風によって雰囲気が変わることが表現されています。
サタケさんのイラストだけではなく、コラムも掲載されていて、サタケさんのイラストや絵に対する姿勢やツールの使い方なども知ることができます。
ツールなどのテクニックも大変参考になりましたが、私はサタケさんの「動物を描く理由」がとても印象的でした。
気になった方はぜひ、実際の本を読んでみてください。
【おすすめポイントその3】本格的に配色を知りたい人でも満足できる
ここまで、この本で楽しめるポイントをご紹介してきましたが、配色の「知識」を学びたい人にも満足できる1冊となっています。
おすすめの内容としては、
・1つの配色ごとに、2色展開や3色展開、カラーバランスやイラスト例など、さまざまな例があるので配色のバリエーションがわかる
・配色で使われている色の選び方に関しての解説文があるので、色を選ぶポイントがわかる
・コラムで色の基礎知識など配色以外のことも学べる
などがあげられます。
特にコラムで取り上げられている「線と色の見え方」は、配色を考える上でとても大切なポイントなので、ぜひ見ていただきたい部分です。
また、この本で収録されている配色のスウォッチとカラーセットはダウンロードOK。
実践でも「この配色使いたい」と思ったら、すぐ使うことができます。
【まとめ】色は楽しみながら学ぶのが一番!
ここまで、「配色アイデア手帖 色とイラスト」をご紹介してきました。
興味を感じていただけるところがあったら嬉しいです。
私は「色」を学ぶのが好きすぎて、色彩検定対策講座の講師をしていた時代もあったほどですが、講師をしていた時も「色は楽しんで学ぶのが一番」と思っていました。
配色ルールとか勉強するとなると、どうしても「楽しむ」ことは忘れがちですが、色はそもそも楽しいもの。
この本では、「楽しい」気持ちを持ちながら配色を学べる最適な本だと思います。
ぜひ、この本で色の世界を楽しんでみてください。
表紙を見ているだけでも楽しいですね!
ただ「ぼーっとしたい」という時にもおすすめです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
またおすすめの本や話題がありましたらご紹介しますので、これからもよろしくお願いいたします。
紅茶をもっと美味しく飲みたい人へおすすめの1冊
こんにちは。
最近、すっかり寒くなって、温かい飲み物が美味しい季節になりました。
私は、寒い季節になると紅茶を飲みたくなります。
(暑い季節はコーヒー派なのですが)
普段はティーパックで簡単に淹れてしまうのですが、ある日ふと思い立ってティーポットを使ってみたら、味の違いにびっくりしました。
もしかしたら、ちょっとしたことで、もっと美味しく紅茶を飲めるコツがあるのかな?
そういえば、あまり紅茶のことって知らないな。
そう思って読んでみた本が、今回ご紹介する1冊です。
もともと紅茶がお好きな方はもちろんのこと、あまり知らないけど興味はあるという方にも、おすすめの1冊です。
「MUSICA TEAに教わる 紅茶の楽しみ方」MUSICA TEA監修
「MUSICA TEA(ムジカティー)」は、大阪市と兵庫県芦屋市にある紅茶のお店です。
今回、私がいいなと思ったポイントを3つご紹介していきます。
【この本のおすすめポイント1】紅茶に関することが一通りまとめられている
この本では、
・おいしい紅茶の淹れ方
・茶葉の産地と特徴
・茶葉の選び方
など、紅茶にまつわる基礎知識が一通り解説されています。
そう書くと、ちょっと堅苦しい本なのかなと思われるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
たとえば、「おいしい紅茶を淹れましょう」という章では、紅茶の淹れ方が種類ごとに説明されています。
・ティーパックで
・ミルクティー
・アイスティー
・チャイ
ティーパックでの淹れ方まで触れられていて、紅茶を気軽に楽しみたい時にはぴったりだなと思いました。
ちなみに、お茶の淹れ方で、私が初めて知ったのは、「水は汲みたての水道水を使う」ということです。
汲みたての水道水には酸素が多く含まれており、茶葉の本来の香織と味を抽出することができるのだそう。
「茶葉の産地と特徴」では、世界のさまざまな紅茶産地が紹介されています。
産地と採取される茶葉の種類は、
・インド:ダージリン、アッサム、ニルギリ、シッキム
・スリランカ:ウヴァ、ヌワラエリヤ、ディンブラ、キャンディ、ルフナ、ウダプセラワ、カーカスウォード、サバラガムワ
・中国:キーマン、ラプサンスーチョン、ライチティー、ローズコングー
など。
他にも、ネパール、アフリカ、バングラディシュ、インドネシア、台湾、トルコなどの紅茶が紹介されていました。
日本でも明治初期から紅茶が栽培されています。
一例として、大分県の杵築紅茶と鹿児島県のねじめ茶寮の紅茶作りの取り組みが取材されていました。
「茶葉の選び方」では、茶葉のさまざまな種類が解説されています。
私が面白いと思ったのは、「季節で選ぶ」方法です。
・ファーストフラッシュ:春に摘まれる茶葉
・セカンドフラッシュ:初夏に摘まれる茶葉
・オータムナル:秋に摘まれる茶葉
と、収穫時期によって茶葉の名前が変わるとのこと。
ダージリンの場合、それぞれ
・ファーストフラッシュ:若々しい爽やかな香り
・セカンドフラッシュ:フルーティでウッディの香り
・オータムナル:ウッディで穏やかな香り
がするそうです。
本では水色(お茶の色)の画像が載っていて、よりそれぞれの違いがわかるようになっています。
【この本のおすすめポイント2】紅茶に関する歴史がよくわかる
2つ目のおすすめポイントは、紅茶に関する歴史がまとめられている点です。
中国では、1世紀ころに書かれた「神農本草経」に、お茶の記述が残っています。
ヨーロッパでお茶が飲まれはじめたのは17世紀ころとのこと。(ちなみに最初は緑茶が飲まれていたようです)
この本では、ヨーロッパで紅茶を広めるきっかけとなった人物にもスポットが当てられていました。
簡単にまとめてご紹介します。
・キャサリン王妃:イギリスでお茶の文化を広めた方です。
ポルトガルからイギリスのチャールズ2世に嫁いできた彼女は、「ティー・ドリンキング・クィーン(お茶好き王妃)」と呼ばれるほど、お茶好きだったとか。
お客さまを招いてお茶会を開き、喫茶の文化を上流階級の貴族に広めました。
・ベットフォード侯爵夫人:アフタヌーンティー(紅茶にサンドイッチ、スコーン、ケーキなどのティーフードを楽しむこと)を確立させた方です。
当時は、夕食時が20時ごろからだったため、空腹を感じる16時ころにアフタヌーンティーを始めたのだそう。
・ジェームズ・テーラー:スリランカで紅茶の栽培をすすめた方です。「セイロン紅茶の父」とも呼ばれています。
・トーマス・リプトン:同じく、スリランカでアッサム茶の栽培を手がけ、紅茶ブランド「リプトン」に名が残っています。
また、日本での紅茶の歴史や、創立70年を迎えたMUSICA TEAのことも当時の写真つきで紹介されていました。
個人的に驚いたことは、日本でチャイを始めたのがMUSICA TEAだったということ。
スパイスの香りが好きで、チャイも大好きな私なので、いつかMUSICA TEAのチャイも飲んでみたいなと思いました。
【この本のおすすめポイント3】装丁・挿絵の雰囲気が楽しい
最後のおすすめポイントは、全体にわたって描かれている挿絵の雰囲気がとても素敵なところです。
表紙にもその雰囲気が出ていますが、どこかエキゾチックな、懐かしいような、アフリカンな感じもして素朴な感じが気に入っています。
こちらを描いているのは、壁画作家の今川咲恵さん。
MUSICA TEA芦屋本店のシャッターにも彼女の作品を見ることができるそう。
また、紅茶の写真などもとても美しく、また美味しそうなものばかり。
全体を通して、ページをめくるのがワクワクする1冊です。
最後に:お茶の時間をもっと楽しく
ここまで、「MUSICA TEAに教わる紅茶の楽しみ方」という本をご紹介してきました。
本そのものはあまり文章量も多くなく、短時間で読み切ることができます。
ですが、紅茶に関することは大体書かれているのではないかと思います。
ここで紹介した内容以外にも、お茶のお供にぴったりなスコーンなどのレシピや茶器のことなど、美しい写真と一緒に楽しめる話題もたくさんあります。
ぜひ、この本でお茶の時間を楽しんでみてください。
MUSICA TEAのホームページもご紹介しておきます。
オンラインショップだけではなく。それぞれの実店舗の様子も見ることができました。
ここまでご覧くださりありがとうございました。
これからもおすすめの本や美術展などをご紹介していきたいと思っています。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
【イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル】に行ってきました!
こんにちは、すっかり秋晴れのすごしやすい季節になりましたね。
今回は展覧会のご紹介です。
【イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル】
現在、六本木の国立新美術館で開催中の「イヴ・サンローラン展」。
今回はこちらの見どころを3点ご紹介していきます。
【イヴ・サンローラン展の見どころ①】1950年代から現代までのYSLファッションがすべてわかる!
イヴ・サンローランがファッション界に登場したのは1958年。
ディオールの急死を受けて、ディオールブランドを引き継いだ形でのデビューでした。
その時発表した「トラペーズライン」で広く知られることになりましたが、その後アルジェリア独立戦争に徴兵されたり、コレクションが不評だったりで、ディオールを辞めることになります。
1961年に「イヴ・サンローラン」を立ち上げ、次の年の62年に、初めてのオートクチュールコレクションを発表します。
今回の展覧会では、最初のオートクチュールコレクションから、2002年に彼が引退をするまでの、さまざまなコレクションがキーワードごとに展示されていました。
たとえば「アイコニックな作品」のコーナーでは、イヴ・サンローランの代表的なスタイルである、
・タキシード
・ジャンプスーツ
・サファリスーツ
・イヴニング(ガウン、アンサンブルなど)
などが、スタイルごとに展示。
時代ごとにフォーカスせずに展示をしていることによって、イヴ・サンローランがデザイナー人生を通してどのようなファッションを生み出してきたのか、がよくわかる展覧会になっていると感じます。
【イヴ・サンローラン展の見どころ②】イヴ・サンローランの「アート」「ファッション」「外国」への愛情がよくわかる!
今回の展覧会で、イヴ・サンローランの知識の広さと、それに対する愛情を強く感じることができました。
1)「アート」への愛情
イヴ・サンローランといえば、今回のポスターにもなっている「ドレス・モンドリアン」が有名でしょう。
モンドリアンの絵画のシンプルさとシルエットの直線性が美しいハーモニーのようで、本当に美しい作品だと思います。
ところで、イヴ・サンローランが「一番親しみを感じていたアーティスト」は誰か、ご存知ですか?
私は今回の展覧会で初めて知ったのですが、それはピカソだったそうです。
ピカソについて、イヴはこのように述べています。
「ピカソはその純烈な形態にかけて天才である。それは生命と率直さの爆発である。」と。
ピカソ以外にも、ジョルジュ・ブラック、ヴィンセント・ファン・ゴッホ、アンリ・マティス、ポップアートなどへのオマージュとしてコレクションを展開しています。
それぞれのアーティストやアートのスタイルを壊すことなく、ファッションとして見事に取り入れられています。
2)「ファッション」への愛情
展覧会の中盤ほどにある、「服飾の歴史」というセクション。
ここでは、古代ローマからイヴ・サンローランが始まった1950年代くらいまでの西洋ファッションをモチーフにした作品が展示されています。
古代ローマのドガや、19世紀に流行したバッスル・スタイルなど、見ているうちに、まさに「服飾の歴史」を見ているように思えてきました。
ここでも、イヴ・サンローランがファッションの歴史をよく知り、愛情や尊敬の気持ちを持って接していたことが、数々のファッションから感じることができます。
3)「外国」への愛情
20世紀後半では、たびたびファッション界に「異国情緒」が流行しました。
イヴ・サンローランもその1人で、コレクションにはさまざまな地域の土着的なファッションモチーフが登場しています。
ただ、イヴ・サンローラン本人はあまり旅が好きではなかったようで、「想像上の旅」とセクション名がついていました。
ここでは、
・中国
・日本
・ロシア
・モロッコ
・アフリカ
・スペイン
などの地域の伝統的な衣装からインスピレーションを得た作品が展示されています。
私が、特に感動したのはアフリカのファッションでした。
木のビーズやワラなどの草素材などをふんだんに使ったファッションで、まるでアフリカにいるような感じを受けました。
また、「オートクチュール」という高級服飾の世界で、安価な素材をあえて使ったことを考えると、とても挑戦的なコレクションだったのかなとも思います。
「アート」「ファッション」「外国」……どのモチーフであっても、イヴ・サンローランのファッションの中で、その個性を生き生きと感じることができます。
それだけ、イヴ・サンローラン自身が、それぞれのモチーフに愛情を持ち、大切に使っていたのかなと、今回の展示を見ながら思いました。
【イヴ・サンローラン展の見どころ③】イヴ・サンローランの「赤」
最後は、かなり私の個人的な印象なのですが、ご紹介しておきます。
今回の展覧会では、イヴ・サンローランが描いたイラストも多く展示されていました。
・幼少期の本「愛について語るのはなぜ?」
・デザインのスケッチ
・仕様書「バイブル・ページ」
など、彼独特のイラストや筆跡を見ることができます。
その中で、黒の鉛筆だけで描いているものが多いのですが、何点かポイントに赤鉛筆で描き込まれているものがありました。
私たちが普段使っている赤鉛筆のように、「ここが大切」というチェックの意味あいもあるのだろうと思います。
しかし、それだけではなく、ファッションのワンポイント・アクセントとして赤が入れられているようにも見えました。
ポスターにもなっている「ドレス・モンドリアン」も、赤のバランスが絶妙ですよね。
ぜひ、実際に作品を見て、イヴ・サンローランの「赤」を楽しんでいただけたらいいなと思います。
おまけ:イヴ・サンローラン展を支えている「職人」にも思いをはせつつ……
どのファッションも完璧に展示されていた今回の「イヴ・サンローラン展」。
ドレスのすそが床に広がっているさまも、とても美しい。
今回の展覧会で、まず「職人技」を感じたのは、これらのファッションを完璧にマネキンに着せた「着付け」の方々です。
スカートのひだ1つ1つも丁寧に折られ、しつけられ、本当に美しいと思いました。
また、今回の展覧会は娘と行ったのですが、彼女が購入した「音声ガイド」。
今回は、声優・俳優として大活躍の津田健次郎さんがナレーションを担当されています。
本当に「イケボ」だったようで、展覧会を別な角度で楽しめたようです。
あと2ヶ月ほど開催していますので、秋のお出かけにぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。
ホームページも素敵なので、ぜひご覧ください!
そういえば、今年のディオールコレクションは、イヴ・サンローランをオマージュしていたんですね!
ここまでご覧くださり、ありがとうございました!
大人でも読んでほしい絵本をご紹介します!
みなさんは絵本が好きですか?
子どもの頃は読んでいたけど、今はあまり手に取っていない……そんな方もいらっしゃるかなと思います。
昨日、学校から小学生息子が借りてきた絵本が、改めてすごい1冊だなと思ったので、ご紹介します。
「これはのみのぴこ」谷川俊太郎・作、和田勉・絵
有名な絵本なので、ご存知の方も多い1冊かと思います。
ご存知の方は、ぜひ「あぁこんな1冊だったな」と思い出しながら、こちらのブログを読んでもらえたらと思います。
私が久しぶりにこの本を読んで、「すごいなぁ」と感動したポイントを3つご紹介いたします。
ポイント1:発想力のすごさ
谷川さんと言えば、多くの名作を書いている詩人。
代表作の「二十億光年の孤独」を思春期に読んで、柔らかな孤独感をひしひしと感じた思い出があります。
今回の「これはのみのぴこ」は、ストーリーは単純です。
「のみのぴこ」から始まって、それに関連するねことか、飼い主とか、どんどんつながって、最後は「のみのぷち」にたどりつくお話です。
この本の面白いところは、ページが進むにつれて、関連するものが増えるのですが、文章のはじまりはすべて「これはのみのぴこ」から始まるところ。
最後は1ページまるごと使って「これはのみのぴこ」から「のみのぷち」まで、関連するものや人が列挙されています。
まるで落語の寿限無にも似た言葉の繰り返しが楽しく、読み聞かせをしていると、子どもたちがノリノリで「自分も読む!」と参加してきます。
一見関連のないものがつながって、どんどん話が大きく展開することのワクワク感は、谷川さんの発想力のすごさを感じる1冊です。
ポイント2:デザインのすごさ
また、この本では谷川さんだけではなく、絵を担当されている和田さんのデザインセンスも感じられます。
たとえば、この絵本では、文章もすべて絵。
切り絵風のひらがなの文字が、コロンとして可愛らしい印象を与えています。
そして、読んでいてとても読みやすいのですが、その理由は「゛」「゜」をかなり小さくしているから。
小さくすることで、文字同士の余白が綺麗に保たれているなぁと思いました。
全体の色合いも、ちょっと鮮やかさを抑えて、落ち着いて見ていられるトーンにまとめられています。
谷川さんの作る文章の世界観にマッチした絵だなと改めて思いました。
ポイント3:奥に見えるテーマ
ポイント1でも書いた「一見関係のないものがつながっていく」こと。
実は、私たちの日常でもよくあることなんじゃないかなと、ふと思いました。
日常を忙しくすごしていると、どうしても「これは自分には関係ない」と切り捨ててしまう場面があると思います。
ですが、初対面の人と共通の知り合いがいたり、子どもの学年が一緒だったり、出身地が一緒だったりして、「一見関係ない」ものや人が、途端に身近な存在になることってありますよね。
このような感覚は、みなさんも経験したことがあるのではないでしょうか。
ちょっと話はそれますが、以前、孤独を感じてつらい時のワークとして、「今、目の前にあるものに関わっている人を思い浮かべる」というのを聞いたことがありました。
たとえば、カフェで1杯のコーヒーを目の前にしていたとします。
その場合、
・コーヒー豆を育てたどこかの国の人々
・それを箱詰めして輸送した人々
・袋詰めにして販売した人々
・コーヒー豆を焙煎し、淹れたカフェのバリスタ
・自分のテーブルまで持ってきてくれたカフェの店員
の人々が、目の前の1杯のコーヒーのために働いてくれたことになります。
もしも、コーヒーを注いだカップとか、カフェの店舗スペースとかを作ってくれた人たちのことまで考えたら、どれだけの人数になるか見当もつきません。
このワークで伝えていることは、私は「自分は繋がりの中に生きていて、孤独ではない」という感覚を思い出すことだと思っています。
今回ご紹介した「これはのみのぴこ」も、色々なものや人がつながって今の世界がある、そしてその繋がりの中に子どもたち自身もいるよということを、子どもたちに伝えてくれているように感じました。
まとめ:絵本のパワーって、すごい
何の特別感もないまとめになってしまいましたが、色々な視点から楽しめる絵本はやっぱりすごいパワーを持っているなと思いました。
なかなか大人になると絵本を読む機会が少なくなると思いますが、ぜひ昔読んだ絵本をもう一度読み直してみてはいかがでしょうか。
きっと、大人になった今だからこそ感じる、新しい発見があると思います。
英訳付き。装丁が美しいです。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました。
もし「こんな時に合う本が知りたいんだけど、何か紹介して」というジャンルがありましたら、ぜひコメントいただけたら嬉しいです。
自分を知るための手帳術がわかる!オススメの1冊
気が付けば、2023年もあと3ヶ月。
少しずつ2024年に向けて準備を始めた方もいるのではないでしょうか。
私が毎年この時期に準備するのは、手帳です。
みなさんは手帳を使っていますか?
スマホやパソコンでスケジュール管理しているので、紙の手帳を使っていない、という方も多いかもしれません。
でも、雑貨屋や文具店の手帳コーナーでは、様々な手帳が並べられていて、手帳ファンは意外といるんじゃないかなと思っています。
手帳の良いところは、単なるスケジュール管理にとどまらないところ。
私も数年前までは、スケジュール管理のために使っていましたが、最近は、自己分析とか自己実現のためのツールとして手帳を選んでいます。
また、以前よりも自己実現のための手帳や、手帳術の本も多く発売されるようになったのではないかと思います。
今回ご紹介するのは、私のように手帳を自己実現のツールとして使いたい方におすすめの1冊です。
来年の手帳選びに迷っている方もぜひ参考にしてみてください。
「人生の純度が上がる手帳術」本橋へいすけ・井上ゆかり 著
著者のお二人は、「自己実現を叶える」会社のメンバーとして、日々コーチングやカウンセリングに取り組んでいらっしゃるとのことです。
タイトルにもある通り、「人生の純度を上げる」=「自分が本来持っている感覚、感情を開いて、ありたい自分で生きる」ことを目的として、pure life diaryメソッドを提唱しています。
今回は、この本の中で、私が「この考え方っていいな」と思ったポイントを3つご紹介していきます。
「この考え方っていいな」ポイントその1:「to do」ではなく「to be」を大切にする
私たちは、日々の生活で、「何をすべきか=to do」を考えて行動していると思います。
毎日、しっかり「to do リスト」を作ってスケジュール管理を行なっている方もいるのではないでしょうか。
しかし、「to do」の思考は行きすぎると、「何ができなかったか」ということを課題として考えるようになり、罪悪感や自己否定感を生む原因にもなります。
そのため、この本で提案されているのが「to be」思考。
「どんな自分でありたいか・どんな自分になりたいのか」ということを大切にして、「自分を大切にできたか」という点を評価基準とします。
「to be」思考と「to do」思考で大きく違うポイントは、自分に対する評価が減点方式か加点方式かということです。
「to do」思考では「できなかったこと」が注目されるので、自分への評価は減点方式になります。
一方で「to be」思考では、「できたこと」が大切なので、自分への評価が加点方式になり、結果として自分自身へ優しくすることにつながっていきます。
「この考え方っていいな」ポイントその2:自分の大切な価値観に向き合う
この文章だけを見ると「当然だよね」と思える内容なのですが、実際に私たちはどこまで自分の大切な価値観を知っているのかな?と思います。
特に「やりたいことがわからない」という人は、もともとの判断基準となる「価値観」がわかっていない場合が多いのではないでしょうか。
この本では、自分の価値観と向き合うワークとして、8つのテーマが挙げられています。
・趣味
・学び
・暮らし
・人間関係
・パートナーシップ/恋愛
・仕事
・お金
・しあわせ
それぞれのテーマの中でいくつか質問があり、それに答えていく形で自分の価値観を見つけていきます。
実際にやってみての感想ですが、答えるのが難しい質問はありません。
ただ、意外と回答が思い浮かばない質問があったりもするので、そのポイントは今まで自分があまり向き合ってこなかった観点なのかなと思いました。
また、違うような質問で同じような回答をしていたりすることがあって、「この価値観が今の私には大切なんだな」と再確認することができました。
このワークは1回で終了ではなく、時間を置いて再度やってみるのが良いとのことなので、私も後日またやってみようと思います。
「この考え方っていいな」ポイントその3:思い込みをはずせば、自然と手帳が続く
手帳に限らず、日記もそうなのですが、私は「始めたのはいいが、毎日続けられない」タイプです。
一言で表すならば、「習慣化」ができないタイプ。
私のように習慣化ができないという悩みに対して、この本では「習慣化より大切なのは自分の変化」という考え方が大切だと説明されています。
習慣化が目的になってしまうと、書くことが目的になってしまい、書き続けられなければダメという考え方になっていきます。(to do思考に似ていますね)
そのため、手帳を完璧に埋めることを目的とせず、手帳を通じて自分と向き合うことを大切にすることが続くポイントと言えるでしょう。
この本でも、「手帳はあくまでも手段のひとつ」と説明されています。
では実際にどうすれば、手帳が続くのか。
そのための考え方として、「行動を変えるのではなく、その前段階にある、モノの見方を変える」ことが大切とされています。
つまり手帳を続けようと思うのではなく、「手帳を続けると何かいいことありそう」という気持ちで手帳と向き合うということです。
たとえば、とても疲れた1日の最後に、「疲れているのに手帳を書かなきゃならない」と思って書くのではなく、「疲れているから一言だけ書いてスッキリしよう」くらいに思って書く感じでしょうか。
また、私たちの脳は、効果を感じられると報酬を好むのだそうです。
手帳を始めて、何かしらいいことが感じられると、手帳に対する見方が変化していきます。
見方が変わることによって行動も変化していくので、無理なく手帳と向き合っていくことができるのです。
他にも、
・きれいに書かなければならない
・毎日続けなければならない
・たくさん書かなければならない
といった思い込みに対しても、それぞれ対処法が解説されています。
細かい部分はぜひ本を読んでいただけたらと思うのですが、とにかく大切なことは、「手帳を書くことが目的ではない、手帳を通じて自分が変わるのが目的」。
このことを忘れずに、私も手帳を使っていこうと思います。
おまけ:特典動画もオススメです!
この本には、特典として著者の本橋さんによる解説動画がついています。
書籍の内容をもっとわかりやすく解説してくれているので、読んだ後の振り返りにピッタリだと思います。
まとめ:自分に優しく、変わっていきたい
私自身、さんざん「できないこと」で自分を責めてきたように思います。
もちろん、そうすることで克服できたこともあったかとは思うのですが、何だか疲れてきたなというのが本音です。
何かのカタチに無理やり自分を押し込むのではなく、自分がもともと持っているカタチをそのまま生かすことってできないのかな?と思います。
もし「自分を見つめ直したいな」と思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
そして、このメソッドを使って作られた2024年バージョンの手帳が発売されています!
ホームページも綺麗なので、興味がある方はぜひご覧ください。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました。
もし「こんな時に合う本が知りたいんだけど、何か紹介して」というジャンルがありましたら、ぜひコメントいただけたら嬉しいです。
自分の「今」に合った本を選ぶコツがわかる1冊
読書の秋ですね〜
ようやく朝晩は涼しい風を感じられるようになり、本を読むにもいい季節になりました。
ですが、そもそも、なぜ人は本を読むのでしょうか?
本を読むことってどんな意味があるのでしょう?
どうせなら、もっと読書を毎日の中に活かせたらいいなと思いませんか。
というわけで、今回はこちらの本をご紹介します。
「心と体がラクになる読書セラピー」寺田 真理子著
今回初めて、「日本読書療法学会」の存在を知りました。
読書セラピーとは、「本を読むことを通じて問題が解決されたり、なんらかの癒しが得られること」と定義されています。
著者自身、うつ病の緩和に読書が役立ったとのこと。
こちらの本でも説明されていましたが、本を選ぶ最初の基準は「好き」かどうか。
でも、「どんな本を選んだらいいかわからない」という時もあるかと思います。
今回、「こんな心の状態の時には、こんな本を読むといいよ」というヒントが興味深かったので、ご紹介していきます。
「こんな時にはこんな本がおすすめ」その1:疲れ切ってしまった時
もうお風呂に入るのもおっくうで何もしたくない……そんな時のおすすめは「写真集」。
脳科学によると、食事などの「生きるために必要なこと」をする時に活性化する脳の部位と、美しいものに触れて「きれいだなぁ」と感じる時に活性化する脳の部位は同じなんだそう。
生きるための気力をチャージするために、文字ではなく写真や絵画を見るといいんですね。
こんな本もいいかもしれません。
色がとにかくキレイ!見ていて時間を忘れます。
「こんな時にはこんな本がおすすめ」その2:元気な自分とのギャップを感じた時
ちょっと元気が出てきて、でも自分のできない部分ばかり目についてしまう……そんな時におすすめなのが、「エッセイ、詩集、絵本」とのことです。
あまり考えずにさらっと読める本のジャンルですね。
また、エッセイなどに書かれていることを、実際の生活に取り入れてみるのもオススメされています。
加えて、「どんなふうに自分が元気になれたか」を記録しておくと、もっと効果的とのことでした。
こんな本もいいかもしれません。
自分とゆったり向き合いたい時にオススメです。
「こんな時にはこんな本がおすすめ」その3:自分のことに思い悩んでいる時
自分のことで悩んでいる時は、自分の思考パターンを見つめ直す「心理学・自己啓発書」がオススメとのこと。
心理学から自分がおちいりやすい思考パターンを知ることで、落ち込みの原因や解決の糸口が見えてくるそうです。
また、自己啓発書は、身の回りにいない「メンター」を見つけるようなもの。
私も、フリーランス関連の本を読んで、実際にその著者の方とお話しする機会を得られたことで、悩んでいる自分が間違いじゃないことに安心したことがありました。
フリーランスで集客に悩んでいる方にオススメです。
まとめ:読書で自身をケアしてあげよう
本を読むことで、自分をもっといたわってあげられるんだなというのが、今回この本を読んだ発見でした。
著者の方によるオススメ本も何冊か紹介されていたので、ぜひご覧になってみてください。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!
毎日頑張っている方におすすめしたい1冊
先日、ママ友さんたちと話していて、「昔より疲れやすくなった」という話題になりました。
その時は「やっぱり前より若くないからね」という結論で落ち着いたのですが、ふと1人になった時に思い返してみて、「何か違うな」と思いました。
確かに年齢の問題はあると思うのですが、それ以前に「ママさんがやらなきゃならないことが多いんじゃないかな」と感じたのです。
そんなことをぐるぐると考えていた時に、ふと見つけた本がこちらです。
マイタイム 自分もまわりも幸せになる「自分のための時間」の作り方
モニカル・ルーッコネン著
タイトルでわかるように、「『マイタイム=自分のための時間』を持とう」というのが、この本のテーマです。
「マイタイム」の内容は、人それぞれ。
自分が興味があること、リフレッシュできることなど、その内容は自由です。
とはいえ、毎日が忙しい中で、「マイタイム」を持つことが難しいと感じる人が多いかもしれません。
家のことや仕事のことなど色々あるのに、自分だけの自由時間なんて作ったらわがままなんじゃないかな…と思う方もいるのではないでしょうか。
今回は、この本の内容をご紹介しながら、「マイタイム」とはどんな時間なのかということを考えてみたいと思います。
「マイタイムってどんな時間?」その1:自分のために「わがまま」になる時間
この本のはじめの部分で、マイタイムを持つときに一番ネックになるのが「マイタイムなんて、わがままなんじゃないか」と自分自身が思ってしまうことだと説明されています。
女性はどうしても子どもや家族など、「自分以外のために尽くす」ことが多いかと思います。
私自身に置き換えてみると、どうしても子どもたちにかかる時間は多いですし、私の周りでは介護や孫育てが始まっている方もいます。
そのような環境の中では、「マイタイム」は一見するとわがままに見えるかもしれません。
でも、毎日が忙しい人こそ、「マイタイム」は必要なのです。
それは、「マイタイム」を持つことで、自分をリフレッシュさせ、結果として体調などの自己管理ができるからです。
周囲から見て「わがまま」と思われることでも、それで心身の健康が得られるならば、毎日の「やらなきゃならないこと」も元気にやっていくことができます。
「マイタイム」を持つことは、有意義な「わがまま」と言えるのではないでしょうか。
「マイタイムってどんな時間?」その2:マイタイムは「いつでも」「どこでも」持てる時間
この本では、マイタイムを持つコツとして、スキマ時間を見つけることを挙げています。
ちょっとだけ早起きしてみる。
お子さんの習い事の待ち時間を活用してみる。
夜、少しだけひとりの時間を過ごす。
などなど……
スキマ時間を見つけるために、24時間のスケジュールを書き出してみることもおすすめされていました。
この本では実際に書き込めるようになっているので、活用してみるのもいいかもしれません。
「マイタイムってどんな時間?」その3:自分の人生をコントロールするための時間
「マイタイム」は「自分自身と向き合う時間」です。
と同時に、外部の情報との付き合い方を考え直す時間でもあります。
この本では、「物事との距離を自分で決める」ことが大切だと書かれています。
毎日、さまざまな要素が私たちに影響を与えています。
仕事、社会、家族、ニュース、SNSや広告などなど……
何もしなくても、多くの娯楽や情報が外から入ってきますが、ただ受け身でいたら「本当にやりたいこと」が見えなくなってしまいます。
自分の人生に何を取り入れるか見極めること、その基準を作るのが「マイタイム」なのです。
まとめ:自分の「マイタイム」を見つけるために
この本では、具体的な「マイタイム」の過ごし方の例がいくつか紹介されています。
ぜひ、「マイタイム」が必要だなと思った方は、ご覧になってみてください。
私が思う「マイタイム」の見つけ方もどこかでご紹介できたらいいなと思っています。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました。