大人でも読んでほしい絵本をご紹介します!
みなさんは絵本が好きですか?
子どもの頃は読んでいたけど、今はあまり手に取っていない……そんな方もいらっしゃるかなと思います。
昨日、学校から小学生息子が借りてきた絵本が、改めてすごい1冊だなと思ったので、ご紹介します。
「これはのみのぴこ」谷川俊太郎・作、和田勉・絵
有名な絵本なので、ご存知の方も多い1冊かと思います。
ご存知の方は、ぜひ「あぁこんな1冊だったな」と思い出しながら、こちらのブログを読んでもらえたらと思います。
私が久しぶりにこの本を読んで、「すごいなぁ」と感動したポイントを3つご紹介いたします。
ポイント1:発想力のすごさ
谷川さんと言えば、多くの名作を書いている詩人。
代表作の「二十億光年の孤独」を思春期に読んで、柔らかな孤独感をひしひしと感じた思い出があります。
今回の「これはのみのぴこ」は、ストーリーは単純です。
「のみのぴこ」から始まって、それに関連するねことか、飼い主とか、どんどんつながって、最後は「のみのぷち」にたどりつくお話です。
この本の面白いところは、ページが進むにつれて、関連するものが増えるのですが、文章のはじまりはすべて「これはのみのぴこ」から始まるところ。
最後は1ページまるごと使って「これはのみのぴこ」から「のみのぷち」まで、関連するものや人が列挙されています。
まるで落語の寿限無にも似た言葉の繰り返しが楽しく、読み聞かせをしていると、子どもたちがノリノリで「自分も読む!」と参加してきます。
一見関連のないものがつながって、どんどん話が大きく展開することのワクワク感は、谷川さんの発想力のすごさを感じる1冊です。
ポイント2:デザインのすごさ
また、この本では谷川さんだけではなく、絵を担当されている和田さんのデザインセンスも感じられます。
たとえば、この絵本では、文章もすべて絵。
切り絵風のひらがなの文字が、コロンとして可愛らしい印象を与えています。
そして、読んでいてとても読みやすいのですが、その理由は「゛」「゜」をかなり小さくしているから。
小さくすることで、文字同士の余白が綺麗に保たれているなぁと思いました。
全体の色合いも、ちょっと鮮やかさを抑えて、落ち着いて見ていられるトーンにまとめられています。
谷川さんの作る文章の世界観にマッチした絵だなと改めて思いました。
ポイント3:奥に見えるテーマ
ポイント1でも書いた「一見関係のないものがつながっていく」こと。
実は、私たちの日常でもよくあることなんじゃないかなと、ふと思いました。
日常を忙しくすごしていると、どうしても「これは自分には関係ない」と切り捨ててしまう場面があると思います。
ですが、初対面の人と共通の知り合いがいたり、子どもの学年が一緒だったり、出身地が一緒だったりして、「一見関係ない」ものや人が、途端に身近な存在になることってありますよね。
このような感覚は、みなさんも経験したことがあるのではないでしょうか。
ちょっと話はそれますが、以前、孤独を感じてつらい時のワークとして、「今、目の前にあるものに関わっている人を思い浮かべる」というのを聞いたことがありました。
たとえば、カフェで1杯のコーヒーを目の前にしていたとします。
その場合、
・コーヒー豆を育てたどこかの国の人々
・それを箱詰めして輸送した人々
・袋詰めにして販売した人々
・コーヒー豆を焙煎し、淹れたカフェのバリスタ
・自分のテーブルまで持ってきてくれたカフェの店員
の人々が、目の前の1杯のコーヒーのために働いてくれたことになります。
もしも、コーヒーを注いだカップとか、カフェの店舗スペースとかを作ってくれた人たちのことまで考えたら、どれだけの人数になるか見当もつきません。
このワークで伝えていることは、私は「自分は繋がりの中に生きていて、孤独ではない」という感覚を思い出すことだと思っています。
今回ご紹介した「これはのみのぴこ」も、色々なものや人がつながって今の世界がある、そしてその繋がりの中に子どもたち自身もいるよということを、子どもたちに伝えてくれているように感じました。
まとめ:絵本のパワーって、すごい
何の特別感もないまとめになってしまいましたが、色々な視点から楽しめる絵本はやっぱりすごいパワーを持っているなと思いました。
なかなか大人になると絵本を読む機会が少なくなると思いますが、ぜひ昔読んだ絵本をもう一度読み直してみてはいかがでしょうか。
きっと、大人になった今だからこそ感じる、新しい発見があると思います。
英訳付き。装丁が美しいです。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました。
もし「こんな時に合う本が知りたいんだけど、何か紹介して」というジャンルがありましたら、ぜひコメントいただけたら嬉しいです。