「最近のアートってよくわからない」そんな時におすすめの1冊
現代アートってなんだか難しそう…
以前、大竹伸朗展をご紹介しましたが、彼も現代アーティストの1人。
現代アートは、どんどん難解になっているような印象を受けます。
それだけ、表現が多様化していると言えるのかもしれません。
言い換えると、これまでの時代にはなかった魅力が現代アートにはあるということ。
今回ご紹介する本は、現代アートをよく知らない方や、現代アートをもっと楽しみたい方におすすめです。
「めくるめく現代アート」筧 菜奈子 著
著者は京都大学大学院に在籍しながら(発行時)、現代美術史や装飾史などを研究しています。
私のおすすめポイントは次の3つです!
【おすすめポイント1】アーティストとキーワードに分類して解説
現代アートを難解に、複雑にしている原因のひとつは、そのスタイルの多さではないかと思います。
また、「コンセプチュアル・アート」「アルテ・ポーヴェラ」「アプロプリエーション」などなど、一見では理解しづらい言葉が使われがち。
この本では、アーティストの紹介だけではなく、このようなキーワードの解説もていねいに取り上げられています。
アーティストの思想や歴史的背景を知ることで、難解に見える現代アートが少し身近に感じられるのではないでしょうか。
【おすすめポイント2】コラムでもっと現代アートが見えてくる
章の間には、現代アートを別の角度から知るためのコラムが載っています。
ここでは、キャラクター2人の会話形式で話が進んでいくので、気軽に読んでいくことができます。
取り上げられているテーマは「20世紀の美術史」や「アートをめぐる巨額のお金」など。
「アートをめぐる巨額のお金」では、現代において、アートが投資のひとつとして捉えられている現状がわかりやすく解説されています。
アートにあまり興味のない方でも、オークションで美術作品が巨額で取引されたというニュースを聞いたことがあるのではないでしょうか。
それでも、作品の意義は金額ではないことがアートの面白い点だと、コラムでは書かれています。
【おすすめポイント3】アートに関わる人たちに注目
アートに関わる人と言われて、どんな人が思いつくでしょうか?
アーティスト、画商、美術館の人…
実はアートに関わる人はたくさん存在しています。
この本では、そんな「アートの裏方」と言える人たちにもスポットを当て、その仕事を紹介しています。
この本を読んでから、私は展覧会を見る時に、展覧会を企画したキュレーターを意識するようになりました。
「どうしてこのようなテーマで分類されたのか」などと思い巡らせながら作品を見ていると、見たことがある作品でもまた新たな魅力を発見できるように思います。
今日の引用ひとこと
我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか。
画家ゴーギャンの一言です。
アートを作ることや知ることは、まさにこの課題の答えを探しているのだと思います。
アートに限らず、芸術や文化はその時代を映し出します。
現代アートが難解なのは、それだけ私たちの生きている現代が難解なのだと言い換えることができるのではないでしょうか。
これからも、そんなことを考えながらアートを楽しみたいと思います。
本そのものは、とても読みやすいです!
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