「フィンランドのことを知りたい」そう思ったときにおすすめの1冊
フィンランドのこと、あまり知らないかも?
以前、フィンランドのテキスタイル「リュイユ」や北欧デザイン展のご紹介をしました。
美術展に行ってみようと思うくらい北欧は好きなのですが、いざフィンランドのことをどのくらい知っているのかな?と思い返してみると、ほとんどわからない。
せっかく好きなんだから、もう少し何か知りたいな…そう思っていたところ、この本に出会いました。
「フィンランド語は猫の言葉」稲垣 美晴 著
著者は東京芸大在学中に、フィンランドのヘルシンキ大学へ留学しました。
私なりに、この本で感じたことを「3つのおすすめポイント」でご紹介します。
【おすすめポイント1】フィンランド語の文法や成り立ちがわかる
これは、英語やフランス語などの印欧系と異なっているので、難解に見える部分ばかり。
この難解さを、この本ではわかりやすく解説してくれています。
たとえば、名詞の格変化は15あったり、否定語が同士だったり…
格変化は日本語にはなじみのない感覚なので、15もあると尻込みしてしまいます。
また、フィンランド語の成り立ちも紹介されています。
この部分を読んで、フィンランド語が「ロシア人でもスウェーデン人でもない」フィンランド人の大切なプライドの1つなのだと理解できました。
【おすすめポイント2】旅行記として楽しい
フィンランドの言語学とか、歴史とか、ちょっと学問ばかりの印象に見えますが、文章そのものは堅苦しくありません。
海外留学の楽しさや大変さをユーモラスに描いています。
たとえば「音声学」では、「R」の巻き舌ができない部分がこのように描写されています。
「結局Rができないのは、クラスで私だけだった。なかには、アルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルと、息をひきとるまで続けられそうな芸達者がいて、私はこれからのフィンランド語学習がどうなるかと思うと、ますます自信をなくすばかりだった。」
私自身、巻き舌は得意じゃないので、その大変さがとてもわかります。
著者も悩んだとは思うのですが、自分の状況を客観視して楽しんでしまう強さも感じることができました。
【おすすめポイント3】学ぶ楽しさと大変さに共感できる
どのような言語であっても、それを学ぶときは楽しく、また大変です。
それが、フィンランド語の場合、フィン日辞典や日フィン辞典がないため、学ぶのがより大変。(現在は日フィン辞典が刊行されていました!)
それでも著者は、フィンランド語の学習にとどまらず、古典や方言も学んでいきます。
その貪欲さは、なんだか清々しくも感じました。
そして、自分も学び続けようと励まされているようにも思えます。
今日の引用ひとこと
「フィンランドは物価の高い国。でも私はフィンランド語を無料で使うことができる」
言葉が財産となる価値が、見事に表現されている一節だと思います。
ちなみにタイトルの「フィンランド語は猫の言葉」、フィンランド語の相槌を打つときの「ニーン、ニーン」という音が猫の鳴き声に聞こえるところが由来です。
こちらの記事もぜひ。
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